「なんか…そういうの憧れる…そんな強く自分の気持ちが言えるなんて…すごい。」
私は大好きな椿に気持ちを伝えたことがないから。
手紙にも書けることが出来ず、口に出すことも出来ず、私は最低だよね…
臆病だもん、ごめんね。
「あたしはずっと皐だけを見てきたからこの気持ちを大切にしたいな…」
「気持ちは…伝えないの?」
集合場所のグラウンドへ歩いていく私たち。
同じ衣装に見に纏い、知らない顔が並ぶ。
私はずっと小絵の隣にいた。
離れないように、見失わないように。
「いつか言いたいけど…。伝えたら皐の傍にいられないような気がしてまだ言えないかな…。今の関係を築くのにすごく時間がかかったから。それに…怖い。もし言ったら、一生無視されるんじゃないかって。」
唇を噛み締めて茶色のグラウンドに目を向ける小絵。
さっきは強さが零れ落ちた唇から、弱さが零れた。
人間は強いの?弱いの?
どっちなのだろう。