電車に揺られる。
人と人の間から弘樹を見つけた。
音楽を聴いているみたい。
遠くにいる弘樹がかっこよく見える。
朝焼けのせいかな。
太陽の光で輝くオレンジ色の髪の毛が彼の色をちゃんと表している。
弘樹も大変だよね。
小絵さんのこと。
何か力になれることないかな。


一駅で学校のある場所へ到着。改札口に向かう途中、前を歩いている弘樹に話しかけた。



「おはよう」



「あ、妃菜子ちゃん。おはよう」



私を見るとイヤホンを外す弘樹。
優しさがこの瞬間から感じられる。




「そういえば昨日どこ行ったの?皐に連れ去られたあと」



定期券を改札口に通し、学校に繋がる一本道を肩を並べて歩く。



「あ、あのあと屋上に行って世間話してたの」



髪の毛を触りながら足元を見る。
私、嘘つくの苦手かも。
相手の顔を見れなくなる。