私の場合父親がいなくて、それが当たり前になっていく毎日。でもまだ父親の顔は思い出せる。
過去を振り返れば、それは簡単に思い出されるのだ。
でも寂しいと思ったことはあるだろうか。
確かに母親からの暴力を受けると父親に助けて欲しいと思うがそれ以上はない。
不思議なことに。
たぶん、父親が出ていったとき、椿が私を慰めてくれたから寂しくないのだろう。きっと。
じゃあ私は椿に何をしてあげれてる?
支えになってるかな。
「おーい?妃菜子さん?考え事?」
すると視界に突然映った椿の綺麗な顔。
私は慌てて一歩後退りをした。
だって綺麗すぎるんだもん。
緊張しちゃうよ、やめてよ。
「な、なんでもない!!」
「ほんとーに?ま、いいや。
妃菜子、天城高校一緒に行こうな。」
「ほんと…に?」
今椿はなんて言った?
一緒にいこうって?
その言葉を信じてもいい?