俺はお前を失った日から世界を恨んだ。
お前のいない世界に希望すらない。




「分かった、調べてみるよ。
じゃあまた明日な」




自分が死ぬとき、何て言って死ぬのだろう。
考えたこともなかった。




「…じゃあ、またね…」





これが、奈月の最後の言葉だった。
二度とない“またね”が最後だった。


俺は何も思わず、手を振って見送った。



運命を変えることなどいくらでもできたのに。
奈月を家まで送ることだって出来たのに。
そうしなかったのは変なプライドを持つ俺のせい。


奈月を寂しい世界に葬ったのはこの俺だ。



ごめんな、奈月…。





その帰り、俺は鼻歌を歌いながら帰った。
プレゼントのこと、明日のことを考えていたら朝よりもテンションが上がるのが分かった。




「あ、奈月に欲しいもの聞くの忘れた」




重要なことを忘れていた。
奈月に聞こうとしていたんだった。
女の子にプレゼントをあげたことのない俺が選べるわけがない。