「うん…いいよ。分かった」
奈月の言葉にほっとする俺。
“明日”という言葉を聞いたら安心した。
奈月は忘れていないようだ。
俺はデジカメを鞄の中に入れる。
そしていつも奈月と別れる道へと着いた。
二つに別れた道を奈月は右へ。俺は左に向かう。
丁度真ん中くらいの位置でいつも“またね”と言う。
今日もそこに立ち止まる。
「明日、俺が迎えに行くから待ってて?用意できたら電話してくれれば行くから」
「うん…楽しみだね、明日。」
変わらない奈月の笑顔。
俺はこの笑顔が大好きだ。
明日、ちゃんと言うよ。
ちゃんと逃げずに言うから。
“好きです”と。
「楽しみだね。今日眠れないかも」
「また冗談言って。
ねぇ…皐?彼岸花の花言葉知ってる?」
「ううん。知らない。何で?」
なぜいきなりこんなことを聞いてきたのだろう。
「家帰ってから調べてみて?私の気持ちだから」
奈月?
俺たちはどこで道を踏み間違えたのかな。