別にお金持ちにならなくたっていい。
頭が良くなくたっていい。


お前さえいてくれれば幸せだったんだ。




「本当?本当に本当?まじで嬉しい!」




きっとこの時の俺は今まで見せたことのない笑顔をしていただろう。
奈月もそんな笑顔の俺を見て笑っていた。


初めて誰かと過ごすクリスマス。
母さんは毎年どこかへ行っていた。
どこかは知らない。
俺にプレゼントだけを置いて、朝からいなくなるのだ。
俺はそれが当たり前だったから、クリスマスなんて無くなればいいと思っていた。
でも今年は違う。
奈月がいる。


早く明後日にならないかな。
明日は二学期最後の学校。
通知書をもらって午前中で帰れる。
そうだ、午後から奈月へのプレゼントを買いに行こう。
驚くものがいいな。
何にしよう。



幸せは長く続くものではない。



昔誰かがこう言っていた気がする。





奈月と一緒に過ごせる時間はほんのわずかだった。