知っているのなら教えてよ。
そうしたら俺は少し楽になるのに。



先生の反対を推しきって、奈月をおんぶし保健室に連れて行く。
あのあと体育館にいた生徒がどう思ったのかは知らない。
どうでも良かったから。

奈月を助けるのはこの俺だ。




「奈月?大丈夫?」




「う…ん。大丈夫。ただぼーっとしてただけ…重くない?」





気がついたのか、奈月は保健室に向かう途中で目が覚めたようだ。



「重くない。むしろ軽いかな。って女の子の体重がどれくらいあるか知らないけど全然軽いよ」




「皐…ありがとう。あと…ごめんね…」




きっと奈月は泣いているだろう。
耳元で囁く声が震えていた。
そんな声で言うなよ。



もらい泣きするだろ。





「いいよ。俺こそごめんな…」




神様、なぜ俺たちの運命を変えてくれなかったのですか?





俺と奈月が一緒にいられる時間はあと、2ヶ月しかなかった。永遠のさよならをしたのは、街が賑わうクリスマスの前日だった。