馬鹿だよな、俺って。
素直に行動してるじゃん、体は。
仲直りのきっかけを作ってくれたのは神様だった。
「奈月!危ない!!」
突然体育館に響き渡る声。
俺は反射的に“奈月”という言葉を聞いた瞬間、視線をそちらに向けていた。
そこには誰かが倒れていた。
集まる生徒たち。
俺は駆け出していた。
「美波!!」
先生の声になんかいちいち反応していられるか。
だって倒れているのは、奈月なのだから。
「奈月!大丈夫?!」
「ボールが頭に当たって倒れたみたいなの!!」
心配する声が入り交じる。
群がる人を掻き分けて奈月に近づいた。
「奈月!!」
気を失っているのか。
奈月は目を閉じて倒れていた。軽く触れても何も反応しない。
「こら!男子は隣のコートでしょ!ここは先生に任せなさい!」
女子を担当する体育教師がこう言った。
でも俺は奈月から離れることをしなかった。
「俺が保健室連れてくから!!」
なぁ、奈月。
俺たちは赤い糸で結ばれていたのかな。