自分でも少しは分かっていた。自分は一般的にかっこいい方だって。
でもあえて自ら言ったことはない。
変な目で見られるから。



いきなり言われたせいか思考回路が途中で途切れてしまう。




「はい?」




「ただ思っただけだよ。私たち名前似てるよね。奈月と皐。一字違い。私初めてなの。」



こう言いながら、包装紙に包まれていた赤い花を取り出して余分な幹の部分を切っていく奈月。
俺の思考回路はまだ止まったまま。


確かに名前は似てるけど…
何が初めてなの?



「何言ってるか分からないんだけど…」




ぷちん、とハサミが幹を切っていく。
丁度いい長さになった花は花瓶へと入れられた。



「この花…知ってる?」




俺は真っ赤な花を見て首を横に振る。
見たことはあるけど名前が出てこない。




「この花、彼岸花っていうの。」





真っ赤に咲く花の名前は、彼岸花だった。