気付いたらそこは屋上だった。呼吸を整えて地面に座る私。
椿は柵にもたれ掛かり、制服のブレザーを脱いでいた。
カッターシャツから覗く肌が私を緊張させる。




「…い、いきなり何よ?びっくりさせないで…関わるなって言ったのあんたでしょ?」」




皐を見て答えを待つが、皐は黙ったまま何も話さない。
皐が掴んでいた手が驚くほど熱い。



「…妃菜子、それはヤバいって。」



「え…なに?」




弘樹もそう言っていたけど…意味が分からないのだけど。




「その髪型…反則。俺のタイプどストライク。可愛くてたまんないんですけど?」



「馬鹿…じゃないの?」




そんなこと言ったって機嫌なんか直らないんだからね。
やめてよ…そんな真剣な表情して言わないでよ。



照れるでしょう?




「俺さ…あれから考えた。妃菜子、昨日言っただろ?俺の心が闇なら光を与えてあげるって。」



そう言って椿はポケットの中から一枚の写真を取り出した。
アスファルトの上に落ちた写真は、私が昨日見た写真だった。



「俺…妃菜子を信じるから…。俺を止まった世界から助けてくれないか?」





皐を止まった過去から救えるのだろうか。

分からないけれど、椿がしてくれたように、話しを聞いてあげたい。
いつも椿は困ったときそうしてくれたから。




そして私は写真の中の記憶へと世界を変えた。