これってワガママだよね。
ごめんね。
私が弱くて。
あんなことを言わなければ、いつまでも一緒に手を繋いで、この河川敷を散歩していたのかな。
薄暗い雲の下で、私は自分の惨めさに苦しめられていた。
「なーんか、空暗いね。知ってる?明日台風来るみたいだよ。17号」
「え、そうなの?知らなかった。季節外れだね…」
「そうだね。もしかしたら明日学校休みになるかもね」
「休みにはならないで欲しいなぁ…」
何故なら私の居場所が無くなるから。
どんよりと重たい空は、台風の意味を表していた。
秋に台風なんて珍しい。まだ台風は眠っていたようだ。
すると突然、私の頭に何かが触れた。
肌から温もりが感じられる。
「なに?椿?」
椿が私の頭を撫でていく。
また私の胸がとくんと鳴った。
「ん?何となく触りたかった。ダメ?」