「…健吾…」
私は言葉にならくて、名前を呼ぶのが精一杯だった。
「会社の同僚に噂で聞いて、場所とか出席する奴に聞いたんだ」
「……」
「…そんな警戒すんなよ。ただ…おめでとうって言いたかっただけだ」
そう言って、少し寂しそうに笑った。
「桃香、結婚おめでとう。幸せそうで良かった」
「…ありがとう…」
「…お前が結婚って聞いて…今日幸せそうな顔が見れてさ…」
そう言うと、ちょっと黙った健吾。
「ようやく…吹っ切れた気がする。ずっと好きで…忘れるなんて無理だったから…」
「……」
私は言葉が出なかった。
「でも…もう本気で忘れるよ。俺は…お前が教えてくれた事、
肝に銘じて、次誰かを好きになったら…1人だけを幸せにする。
もうお前の時みたいに…後悔なんてしたくないからさ…」
「うん…」