「…お父さん、お母さん…」

「…なんだ?」

「あの…私、明日お嫁に行くから…」

私が意を決して声を出そうとすると、



「やめてくれよ」

と、お父さんに遮られる。



キョトンとする私に、お父さんは続ける。



「お世話になりましたとか…そういう挨拶は…」

「あ、うん…。でも…あのね…」


「いいから…」

そう言うとお父さんは席を立って、
どこかへ行こうとしたから、慌てて止めた。



「待って!」

お父さんがピタリと止まる。