「はあっはあっ……」
冷たい雨に打ち付けられながらも、私は走った。まるで何かを、振り切るように。
赤沢早苗達の言葉が、頭の中をぐるぐると回り続ける。涙は雨と混じり合って私の体を濡らした。……心も、濡らした。
その時、
「!?」
誰かに腕を掴まれた。振り返ると、亮の姿。
「……ゆかちん、戻ろ?」
亮は全身ずぶ濡れになって、私のことを追い掛けてくれていた。
「黒板の落書きも、消したから」
亮は、苦渋に満ちた表情をしていた。
ごめんね、亮。私が亮にそんな顔させちゃってるね。亮は何も悪くないのに、みんなに責められて。
私は……私は、亮の傍にいない方がいいんだ。それで、全てまるく治まる。亮に辛い顔させなくて、済む。亮は、優しいから。優しすぎるから、だから。
私が、突き放さなきゃ……。