ああ、そういうことか。

「花火大会の日、アンタと亮が一緒にいるのを見たんだよ」

「高橋さーん、人の男に手を出すのは良くないでしょ、わかってる?」

心臓が、ドクドクと鼓動を増してくる。背中に伝う、冷や汗。

ギャル達は、鋭い視線を投げてくる。中心に、西田桃の姿があった。

「アンタみたいな女に亮を取られる桃の気持ち、わかる?」

彼女の瞳にあるのは、嫉妬と、蔑みの色。

「――なんとか言えよ!!」

その叫びは廊下まで響いていたようで、

「どうしたんだよ!?」

聞きつけた亮が、教室に飛び込んで来た。

「亮……」

「ゆかちんっ」

私の目にはもう涙が一杯に溜まっていて、亮の姿が、滲んで見えた。