「亮、何でこんなところに……」
その言葉は最後まで発することが出来なかった。ひゅるるるる〜と軽い音がしたと思ったら、ドオンと、夜空に大輪の花が咲いた。思わず、息を飲んだ。その一発を皮切りに黒いキャンパスには次々と鮮やかな花火が打ち上がる。
「わあ〜凄い!!ねえ見て亮凄いよ!!花火、ちょー綺麗!!」
はしゃぐ私を、亮はにこにこして見ていた。
「ここ、俺の見つけた隠れスポットなんだ」
「え」
「花火見やすいし、人もいないし、いいだろ?」
ゆかちん喜んでくれるかなって思って、連れて来たんだ。
亮はそう言って、まるい瞳を弓なりにした。
「亮……」
もう、好き。好き、大好き。
亮は一歩前に出て、視線を空に向けた。
「俺、桃と別れたんだ」
「……え」
それって、それって。
私は、内心の動揺を隠そうと、平静を装って言った。
「なんで?」