教室は、夕日でオレンジ色に染まってる。カーテンが、柔らかく風に揺れていた。

私達は時間が経つのも忘れて、色々な話をした。まるで今までの隙間を埋めるように。

何でも亮はテストの順位が50位も上がったらしい。私はクラスで下から3番目になったなんて、口が裂けてもいえない……。

窓の外が紺色に染まる頃、私達は教室を後にした。

家に着くと、すぐに探し物を始めた。

「……あった」

部屋の隅の、服やらなんやらの下にちゃんとあった。キティちゃんのストラップ。

「乱暴して、ごめんね」

大切に大切に、するからね。

ニコッと笑って、携帯につけた。

私は、凄く晴れやかな気分だった。いくら報われないとしても、自分の気持ちを消すことは出来ない。だったら、その気持ちを背負って生きていくしかない。喜びも悲しみも、全部背負って。

軽はずみで告白したこと、後悔しちゃうかな?でも、亮を好きになったことは――絶対、後悔しない。

『無駄なものなんてない』と言った西田桃の言葉、今なら信じてみたいんだ。流した涙のひと粒ひと粒にも、意味はあるんだと。