ぽたっと、握り締めた手の甲にしずくが落ちた。
駄目だ……。亮の笑顔に、こんなにドキドキする。亮の言葉が、こんなに嬉しい。
亮を避けることで、一生懸命、自分の気持ちに蓋してた。でも、でも。やっぱり、私……。
「好き」
「……え?」
「私、亮のことが、好きなの……」
その後の沈黙は、時が止まったように、長く感じた。
亮がやっと口を開く。
「ごめん。俺、桃と付き合って」
「うん知ってる」
「!?」
「いいの。私の気持ち、伝えたかったから。亮に、知って欲しかっただけだから。だから、答えもいらない」
「ゆかちん……」
「だけど、亮には今まで通り、普通に接してほしいな」
そう言って、私は微笑んだ。亮みたいに、上手く笑えてはいないかもしれない。
でも、私の中で、最高の笑顔。