「早くお前との時間を過ごしたかったから、クラスの生徒との会話も上手く終わらせて抜けてきちゃったよ…。」


そうだったんだ……。
私も、もう少し早く気付けば良かったな…。


「それじゃあ、だいぶ待ちました?」


「ん?ちょっとだけだから、大丈夫。」



先生は頭を撫でながら、耳元で囁きかけた。



「幸歩、卒業おめでとう。」


その言葉に、私は先生の胸の中で頷いた。


先生が私だけに言ってくれている…
そう思ったら、胸がじんわりと熱くなった。