ギュッと強く抱き締める腕が キツくてだけどとても心地よくて 涙が溢れそうになる




“やまと…正直に言うね。…………私、きっと多田主任の事忘れる自信ない。だけど、それでも私を選んでくれるなら、私、多田主任の事忘れるように精一杯努力する……。ごめんね。わがまま言って”




“うん。俺が多田主任の事ちゃんと忘れさせてやる。だから、もう……自分を傷付けたりしないで…”




耳元で響く低い声




“ごめんなさい。もう、しないから。”




“約束な”




私をキツく抱き締めていた腕は解かれ 右手の小指が差し出される




“指切りげんまん…な”




あまりにも無邪気に笑う その顔は私をささやかな幸せへと誘う




♪ 指切りげんまん 嘘ついたら 針千本飲ます 指切った ♪




“八重。愛してる”




再び 三上さんは私を抱き締めた




今度は とてもとても優しく




それは まるで宝物を優しく包むように




“やまと?”




“ん? なに?”




“…抱いて…”




こんな場所で こんな事を言うのは とっても間違いなのは分かってる。だけど、三上さんに抱かれたいと思ったんだ




“……………。”




少しためらって




“今はダメだ。八重がちゃんと、主任の事を忘れるまでは…。それに…俺の大事な人だから、そういう事はもっと大事にしたいんだ”




照れながらも真剣な瞳は なにひとつ偽りがなく 透き通っていた




-幸せ-




-優しさ-




それらを全部 形にしたら



きっと今の気持ちだ