その日




三上さんは家に帰らず 私の側にずっと居てくれた




私は眠っているふりをしていたけど 眠れなかった




左の手首を動かすと痛かったけど それよりもずっとずっと痛むものが私の中にあった




イスに座り何度も眠りに落ちていく その度に足を踏み外したようにハッと我にかえるけど 決して私の手を離さなかった三上さんに 何度も何度も心の中で《ごめんなさい》と《ありがとう》を呟いた








“あんた、本当に幸せなん?”




ふと 沙耶の言葉が頭をよぎる







…幸せ…




三上さんは私といて 本当に幸せなのだろうか…?




幸せ って何?