“沙耶。私、彼氏出来たよ。”




一週間に1度ぐらいのペースで 私と沙耶は連絡を取り合っていた




“そうなん。相手は多田さん?”




さもかし当たり前のように 《多田》という名前が出てくるのは不思議じゃない




ほんの2・3日前までは 多田主任が好きだったんだから…




“ううん。違う人”




“そっか。八重にも好きな人が出来て良かったわ”




…好きな人……か…




言葉に詰まった私に気付いたらしく 沙耶はこう呟いた




“八重?…あんた本当にそれで幸せなん?”




《幸せ》




その言葉が私の胸を締めつけた




…これで 良いんだ…




“大丈夫だよ。私ね、守りたいの…”




沙耶の疑問にそぐあわないけど、今の私に言える答はこれしかなかった