学校は嫌いではなかった。家では、おふくろにいつもうるさく言われる。
学校は恰好の避難場所だった。
雰囲気ものんびりとしたこの学校は、クラスのやつらものんびりしていて、平和そのもの。
不良と呼べる奴らも大しておらず、問題だかなんだとか言われている学級崩壊なんてのもない。

時間がゆっくり進む…俺がいても、いなくても同じような感じだ。
それが、俺にとっては居心地がよかった。

転校初日に与えられた窓際の席からは、グランドが見えた。
初日に圧倒された、校門の桜の木も見える。
老樹のためか、まだ花は満開ではなかったが、幹の太さには驚かされた。
あの木は、この学校が創立されて以来、自慢の桜の木らしい…。
これも、この学校の雰囲気そのものとも言えよう、人のよさそうな穏やかな校長が教えてくれた。