中3の1学期、俺はこの学校に転校してきた。
俺の名前は神村正樹。
受験シーズン真っ只中な、この時期に転校なんてしてる俺は、いわゆる転勤族だ。親父の会社の都合で、小学校の時から、各地を転々としている。
同じ土地に、1年としていたことはなかった。


「神村、次移動だかんな。美術室は、隣りのC棟の2階だ。」
「ああ、ありがとう・・。」

決して一緒に行ってくれとは言わない。俺は友達を作らないようにしていた。
小学校の時に、俺が学校を離れる際、友達に大泣きされて、罪悪感を覚えたからだ。

中学にもなって、別れるからって泣くやつもいないだろうが、今更、めんどくさいとも思った。
そんな俺の雰囲気を感じてか、周りのやつも俺に干渉しようとはしない。
こんな時期の転校生に、近づきにくいだけかもしれないが。