雨上がりの湿った空気が、部屋の中に入って来る。


立ち上がったあたしは、窓に近寄った。


その瞬間、街を跨ぐように架かった七色の虹が視界に飛び込んで来た。


「虹ちゃん、見てっ!!虹だよっ!!」


虹ちゃんはあたしが指差した方に視線を遣って、小さく笑った。


「あたし、虹って綺麗だから好き」


「なぁ、紫。虹って、本当は綺麗じゃないのかもよ?」


「え?」


虹ちゃんの言葉の意味は理解出来なかったけど、すぐに微笑んで見せた。