スカートのポケットから、携帯を取り出す。


待受画面は、家の庭に咲いている薄い群青色の紫陽花。


両親とあたしが一番好きな花だから、ママが育てているんだ。


“紫”って名前は、紫陽花から一文字取って付けられた。


だから紫陽花を見ていると、勇気を貰えるような気がする。


うん、大丈夫だよね!


お守り代わりの紫陽花の画像を見ながらもう一度自分に言い聞かせ、携帯をポケットに戻した時…


階段を上がって来る誰かの足音が聞こえて来た。