「紫ちゃん」


不意にあたしの事を呼んだ虹希さんは、優しい笑みを向けた。


「誕生日おめでとう」


「あ……ありがとうございますっ……!」


虹希さんにお祝いを言って貰えた事が何よりも嬉しくて、満面の笑みでお礼を言った。


「せっかくの誕生日だし、ケーキでも食べない?」


彼がそんな風に言ってくれた事は、すごく嬉しかったけど…


色んな気持ちが入り混じって胸がいっぱいだったあたしは、今はお腹がいっぱいだからと言って丁寧に断った。