しかしながら、小林の僕に対する態度は置いておいても、僕の母親に対する見解の変化に僕は引っ掛かった。

美しいとまで賞した僕の母親を、何やら先程の口ぶりでは何かしらの嫌味、恨み、憎しみを持っていると判断される。

“母親のしたことを”

というのは、悪い方向に考えて良いようだ。

「…──」

嫌な沈黙が流れる。
──!あぁ、僕がこの空気を作っているのか。

「自分の母親を知ることは悪いことじゃないと思うし、あんたのことも、気になるし」

今のは得てして告白ではないのだ、別に。

「そういう考え方は、本当にそっくりだよ」

クッと喉の奥で笑ってから、ふと空気を見るような顔をする。

「──…異常だ」








「え…──?」

その言葉に僕が完全な反応を寄越す前に、小林は拳銃を構え、僕の背中の方向にある暗い扉に向けて──

発砲、した。


「う、わっ!?」

我ながら情けない声音ではあるが仕方ない。
──初めて見た。
ていうか、一生見る必要のないものを目の前で見てしまった。

心臓なんかバクバクだ。