キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った瞬間、教室中がざわめく。
数学の先生と入れ替わりで担任が入ってHRが始まった。
担任は入ってきたと同時にHRを終わらせた。
他のクラスの担任と違ってすぐに終わらせるのは、この担任の唯一良い所だと思う。
適当に挨拶を済ませると、俺はとっとと教室を出た。
他の奴らは残って話しているみたいだけど、俺はあの空間が好きになれない。
毎時間の休み時間に散々話して、放課後まで何話すことがあるんだ?
他のクラスがまだHRをしていたせいで、廊下にはほとんど人がいない。俺にとっては好都合だけど。
人ごみとかウザいだけ。
「よっ、星! もう帰るのか?」
ぽんと方を叩いて翼が声をかけてきた。
翼、俺がクラスの中で一番話す奴。メルアドも番号も知らないけど、こいつのスッキリしている性格が俺には合ってるみたい。
「あぁ、帰るけど」
「そか。じゃあな!」
そう言って翼は足早に去っていった。
帰り際は毎日これの繰り返し。
生徒玄関で靴を履き替えて俺は人を待った。
時間が経つにつれて学校全体が騒々しくなってくる。それと同時に俺のイライラも増してくる。
「ごめんなさい。待った?」
程なく俺の待ち人、美香が声をかけてきた。
美香は俺の一つ後輩で、一応俺の彼女。背が高くない俺でもチビだと感じるくらい低い身長で、顔はまぁまぁ。
「いや。行くか」
放課後は大体美香と帰る。
「うん」
手を差し出すと、美香は嬉しそうに繋いできた。
「ねぇ星、カラオケ行かない?」
「カラオケね。いいけどバイトは?」
いつも放課後は美香をバイト先まで送って帰るのが習慣。
結構バイトを入れてるみたいで、今日もバイト先に送っていくつもりだった。
「今日は休み。だから行こ」
「いいよ」