「そうか。どうも帝国軍の動きがおかしいのも、そいつらが関係しているのかもしれないな。」

「ああ…ところで、お前なんかあったの?」



急にそう振られたカイは、深い青の瞳をぱちぱちとさせ、ダグラスをみやった。


ライオンの鬣のような茶色の髪をぽりぽりと掻き、ダグラスは奥歯にものがはさまったような話し方をする。



「いやさ~、いっつもぶすっとしてるお前が、ちょっとばかし緩んだ顔してるように思えてよ。いや、俺が思うに、男がそんな顔をするのは女…」



最後まで言葉を続けることはできなかった。カイがつかつかと近寄り、思い切り頭をはたいたからだ。



「いっ…。お前、そのすぐ手が出る癖直せよな~!!」



思いのほか強い力ではたかれたため、目に涙を浮かべた一国の将軍は、抗議を繰り返す。



「心配するな。お前にしか出ない癖だ」



そうにべもなく言い返す友人に、まだぶつぶつと文句を言い続けるダグラスだった。