「ああ、もしかしてあそこか?街を見下ろせる」



その言葉にぱっと顔を上げたマリーは、まともにカイと目が合ってしまった。



「あそこには、俺もよく行くんだ。だけどここを突っ切っていくとは…」



カイの青い瞳に魅入られたマリーの耳には、とぎれとぎれにしか言葉が届かない。



「こっちの道の方がはるかに楽だぞ」



そういってマリーの手を取り、カイはすたすたと歩き初めてしまった。


あ…あれ?
なんでカイと手をつないでるの、私。


あっというまの出来事で、ぼうっとしていたマリーは完全に付いていけていない。


カイの手…おっきいな…


マリーが手をつないだことのある異性は、シリウスだけだった。
シリウスの手もごつごつして感じたけれど、カイの手はさらに大きく、ごつごつして感じた。


自分の手がすっぽり包まれ、暖かさを共有しているこの状況に、マリーは心も暖かくなるのを感じていた。