すたすたと早歩きで宿舎の裏までたどり着く。



「…あ、あった。ここだ」


先ほど自分が踏み倒し、浅いながらも獣道のようなものができている。


さっきと違って道もあるから楽に行ける。


目的地までの距離が分かるのと分からないのでは疲労感が異なることから、そう当たりをつけ斜面に足をかけた。


しかし…



「マリーか?」



後ろから聞こえるこの声は。


一瞬動きを止めた後、そっと伺うように後ろを向いたマリーの目に映ったのは、自分に笑いかけるカイの姿だった。