マリーは食堂をするりと抜け出て、誰もいないのを確認して廊下を駆けていく。

自分の気持ちがぐちゃぐちゃしている。



「気持ち悪い…」



今まで人と関わることが極端に少なかったマリーにとって、異性に対して感じる気持ちを処理するのは困難だった。


軽い足取りで駆け抜けていた足が自然と止まる。


部屋に戻ろうかとも思ったが、なんとなく一人で居たくはなかった。


方向をぐるりと変え、さきほど行ったばかりのあの場所に行くことにする。


斜面を登る道しかわからないから、もしかしたらまた服をダメにするかもしれない。


けれど、それでも構わなかった。


今はとにかく、あの場所から見える景色を眺めたかった。