「それにしても…」



そう呟き、マリーのぼろぼろになった姿を上から下まで見やり、男が呆れたように言う。



「君、どこから来たわけ?すごいことになってるけど」



景色にばかり気をとられ、自分の状態を全く気にしていなかったマリーだったが、よくよく見ればあちこちに草の汁や泥がついている。



「あ〜宿舎から山を登って…」

「山?…なに、もしかして斜面を突っ切ってきたの?」



きょとんと目を丸くした男にマリーは顔が赤くなっていくのを感じた。



は、はずかしい…



「ぷっ…」


あはははははは!


と腹を抱えて笑いだした男の前で、マリーは赤くなった頬を押さえて立っているしかなかった。



「ひ、ひ〜くくくっ…おとなしそうな顔して…ぶふっ…」 



いつまでも腹を抱えている男に、マリーはちょっとムッとしながら、

この人笑い上戸なのかしら? 

とどうでもいいことを考えていた。