美しい街並みに見とれていたマリーは、後ろに人影が忍び寄っていることに気づかなかった。



「きれいでしょ、ここから見る景色」 


「きゃっ!」



突然すぐ後ろから声をかけられたマリーは、肩をびくりと震わせて、思わず飛びのいてしまった。



「いや〜、驚かせちゃったかな?ごめんごめん」



とニコニコ話すその人は、本当にすまないと思っているようには見えない。


濃い金色の髪を首の横でゆるくまとめ、空のような明るい青の瞳をもつその人に、マリーはどこかで会ったような気がするが思い出せない。



「なに?なんか僕の顔についてる?」



ふふっと笑いながら話し掛けてくる男に、マリーは


こんな美人さんと会ってたら、覚えてないはずがないよね…


そう思い直した。