宿舎の裏は、木々が斜面をはしる、つまりは…山だった。


山に沿って作られた城であるから、このような場所が多々見受けられるのは当たり前なのだが、散歩をするマリーにとっては大問題だった。


せっかくだから靴の示した方向を進んでいきたい…


悩んだ末、マリーは穏やかな散歩より冒険を選ぶことにした。


普段は人が登ることはないのだろう。斜面の草花は、全く折れていない。


森が遊び場のマリーも、全く道らしきものがない、鬱蒼とした斜面を登ることには慣れていない。



「うう…やっぱりやめとくんだった〜」



後悔先に立たず。せっかちな所があるマリーに、普段お師匠様がよく使う言葉が、頭をよぎった。