マリーは宿舎を飛び出したものの、全く見知らぬ場所で城のなかということもあり、どちらに行こうか迷っていた。


金髪を風になびかせて頭をかかえ、うんうん唸っている姿は人の目には奇異に映ったことだろうが、幸い宿舎のあたりには人気がなかった。


結局マリーがとったのは、最も原始的な方法だった。


「っえい!」



そう勢い良く上に投げた靴がぼとっと地面に落ち、爪先が指していたのは、どうやら宿舎の裏の方のようであった。


行き先が決まり、再び元気を取り戻したマリーは、片足で靴の所までぴょんぴょんはねていき、しっかり土埃をはらってから履いた後、意気揚揚と散歩へと出発した。