ふう


と疲れのにじんだため息をついたマリーに、シリウスは「疲れたか?」と優しく声をかけた。



「…少し。なんだか椅子に座ったら、急に気が抜けちゃって」



少し恥ずかしそうにそう言ったマリーを見て、シリウスはある人の言葉が頭をよぎった。




ーーマリーを、マリーをあなたが守るのです。





その言葉がなくてもマリーを守るのは自分だということに変わりはない。


だが、どうやら秘密をかぎつけたらしい帝国を相手に、1人で守ることが難しくなったことも事実だ。


今日あったことは、マリーも疲れがとれればあらためて疑問に思うだろう。


そろそろ真実を話すべきか…



シリウスは、彼には珍しく迷っていた。


真実がマリーにどのような影響を与えるのか、占いでみたあの光景はいまだ忘れられない。



「マリー、散歩でもしてきたらどうだ?」


何やら暇そうに足をぶらぶらさせているマリーに、シリウスはそう提案した。


すると、マリーは急に好奇心で目を輝かせ、元気に返事をして部屋を出ていってしまった。



せっかちな所はあの人に似たのかな…



そんなことを考えながら、シリウスはこれからどうすべきか、一人になった部屋の中で思いにふけった。