「街の人間に用意されている避難所に入るためには、いくつか審査事項があるらしい」



まあこの有事の時に密偵にでも入られたら事だからなあ。


そうのんびりと話すシリウスの前で、マリーはこれでもかというほどガチガチに固まっていた。


城の大きな門をくぐれば、中は武装した兵士だらけで、戦場との連絡をとるために頻繁に出入りしている。

ぴりぴりと張り詰めた緊張感は、マリーにもしっかり伝染していた。


広場を抜ければ緩やかな石畳が上へと繋がる。その先にあるのは、東王や重臣たちの住むところだ。


高い塀の中には井戸が至る所にあり、幾日閉じこもっても飲み水に困らないようになっている。


シリウスは思った以上に設備の整っている城に、感歎の声をもらした。