マリーは、少年の注意がお師匠様に向いたことにほっとして、自分の世界に没頭していた。


さきほどあったこと…あの黒兜がいっていたことの意味が、恐怖が引くにつれて気になり出していた。


シリウス殿下?マリエル王女?


マリエルとは、確かに自分の真名だ。普段は愛称のマリーと呼ばれているが、本名はマリエルだと、お師匠様に教えてもらった。


その名前は、お師匠様がつけてくれたものとばかり思っていたが…なぜあの男は知っていたのだろう?


それに殿下とか王女とか…さっぱり何のことかわからない。




後でお師匠様に聞いてみるしかないと思いつつ…

さきほどまで闘っていたお師匠様は今まで自分が知っていたお師匠様とは違うようにも思えて。


マリーは、急激に自分の周りに変化が起こっているように思えて、怖かった。

自分をかき抱くように腕をまわしたが、それでも、背筋をのぼってくる寒気を消し去ることはできなかった。