その後をアルヌスの兵たちが追いかけていくが、馬に乗っているわけではなかったため、あきらめてこちらへ帰ってきた。


「大丈夫でしたか?」


そう声をかけてくれたのは、茶色の髪をふわふわなびかせた、マリーとそう歳が変わらない少年だった。


「ああ、ありがとう。森沿いに東の王が治める街に行こうと思ったんだが、さっきの者たちにおそわれてね」


そう少年に答えながら、シリウスさきほどはじかれた剣を拾いに降りる。


「この辺りは戦がはじまりました。案内しますので、避難をお願いします」


少年と共に歩いていた他の兵士が馬の轡をとり、促す。


マリーは伺うようにシリウスの方を見た。それに安心させるように微笑んでおいて、シリウスは「お願いします」と答え、自らも馬の隣に立ち、歩き始めた。