最後に「死ね」とシリウスに言った男は、剣をすべらせシリウスの剣をはじきあげた。


真っ青な顔でその様子を見ていたマリーは、まるでゆっくりと時が進むかのように、男がシリウスに剣を振り下ろす瞬間を見ていた。



お師匠様が死んでしまう!
誰か、誰か助けて…!!



マリーは動くこともできず、ただひたすら心の中で祈った。



その時だった。



「ぐっ…!?」




剣を振り上げた男の肩には、どこからやってきたのか、深々と矢が突き刺さっていた。



「あそこにも帝国のやつらがいるぜ!」




離れたところから弓を構えながら走ってくるのは、アルヌスの兵士のようだ。




「くそっ!」




忌々しげに矢を抜き去った黒兜の男は、くるりとマリーとシリウスに背を向け、部下たちを引きつれて森の中を駆け去っていった。



「また会いましょう」



その言葉を残して。