聞こえてくるのは、自分のどくどく鳴る心臓の音だけ。


そうひっしに馬の背に伏せているマリーは気付かなかったが、後ろから何頭もの蹄の音が着々と近づいてきていた。



くそっ、やはり2人乗りだと速さに劣るか…!


後ろから追い上げてきている馬たちは、確実に自分達を追い掛けている。


そうシリウスには確信があった。



それは、占いが自らの危険を示したことだけが理由ではない。



追われる覚えがあったからだ。



いつも占いをしてやってる、軍人の娘である女がこっそりと教えてくれたことからも、絶対の確信をもっていた。



今自分達を追ってきているのは、帝国軍の兵達だと。