二人もその背に乗せているとは信じられないほど、馬は力強く駆けた。


森を走り慣れているのか、ひょいひょいと木々を避けていく。


一方のマリーは、森を馬でかけたことがないため、シリウスの腕のなかで固まっていた。


金と銀の髪が馬で駆けていくさまは美しい絵画のようであったが、当の本人はがちがちだった。



その時だった。



はるか後ろの方から何頭もの馬が駆ける音がしてきた。


しばらく耳を澄ませたシリウスは、


「体を前かがみにしなさい」


そうマリーに言うと、自らもマリーに覆いかぶさるようにして前屈みになり、さらに馬に鞭を打った。


スピードが上がった馬の上で、マリーはもはや何が何だかわからない状態になっていた。