びくっと肩を揺らし、目を見開いて何が起こったのか分からない状態のマリーの目の前に立っていたのは、息を切らしたお師匠様だった。



「マリー、旅支度をしなさい」



そう言ったお師匠様に、マリーもはっとしてすばやくリュックに荷物をつめこむ。

食料と水、そして着替えに薬箱…
あとは、16歳の誕生日にもらった、占いのための布と石…

少し古びたそれは、お師匠様のお師匠様から貰ったものらしい。


マリーの宝物だった。





なぜお師匠様があせっているのかは分からないが、マリーは常々、「旅支度をするよう言われれば、何も聞かずに必要なものをまとめられるようにしなさい」と言い含められていたため、手際よく準備をすることができた。