誰?と聞いてくるその声は心地よく耳に響いた。
彼女の名前はマリーといった。

最初はおびえている風だったのに、相手が人間とわかって安心したのか、急に警戒心を解いたのもおもしろかった。



自然に笑みが浮かぶ自分に、こんなところを部下が見たら驚くな…


そう思った。



しかし今は非常時。


最後には思わずキスをしてしまったが、自分は戻らなくてはならない。


じきにこの辺りは戦にまきこまれる。
一領主としては下手に詳しいことを言うわけにはいかないものの、できれば彼女はそんなものに関わらないでいてほしい。

矛盾した想い。



結局は、



どう死なないでくれ…

そう祈るしかなかった。


また会えると信じて。