その日、国境にある砦に激震がはしった。


一人の偵察兵が、国境付近に帝国軍が陣をしいていることを報告したからだ。



その兵は矢傷を負っていたにもかかわらず、少しでも早く報告するために無理をし、砦に着いたとたんに倒れた。



幸いにも命に別状はなかったが、未だ起き上がれる状態ではない。




その兵には後日報償をやらねばな…




そう考えつつ、アルヌス王国第二師団の団長を任されているダグラスは戦闘準備を整えていく。




今までも帝国軍は隣国であるここアルヌスに手を出してきたものの、いずれも小競り合い程度だった。




しかしここにきて、自軍に気付かれないように国境まで近づいてきたとなると…



今度は本気のぶつかり合いになるな。




眉間にしわを寄せ、歴代最高の名将軍とうたわれる男は国の行く末に思いをはせた…