男はがたがたと震えていた。歯の根があわず、かちかちと音がする。



自分の見たものを伝えなければならない…




その一心で震えるからだを押さえ込み、息をひそませ踵を返す。




妙に自分の呼吸音が大きく聞こえる。



はやく…はやく知らせなければ…!




気持ちは焦るが、見つからないように走ろうとすれば、必然とスピードが落ちる。




その時だった。





とすっ






「うっ…」






肩に焼け付くような痛みを感じた。



見つかったか…




絶望感と焦りが男を襲う。


しかし、なんとしても仲間にこのことを伝えたい。


その一心で男は走り続けた。