シリウスは目を開いた。
すでに自分に語り掛けてくる何かは去っていた。



今のは…




知らず知らずのうちに、肩で息を繰り返していた。



今のは…なんだ。




自分が見た映像は、想像以上に衝撃的なものだった。



マリーに何が…




これから来るであろうマリーの未来に思いを馳せる。

その時自分は傍にいてやれるだろうか…



そして、自らを貫くマリーに走りよる顔には見覚えがあった。



漆黒の髪に青い瞳…


それを持つのはこの国でただ一人。



王弟カイ・イルバ・アルヌス。



国の東、つまり今シリウスとマリーが住む領地を治める王だった。