いったいなんだったんだろう…


風のようにして現れ、あっという間に去っていったカイ…



彼が何ものかも聞いていないことに気付いたマリーには、



森が見せた幻だったのかしら…?



そう思えた。
しかし、額はまだ熱くほてっていて、あのキスが現実のものだと訴えている。



森の動物たちには会えなかったが、カイと出会えたことが、なぜかひどく大切なことに思えた。




今日はもう帰ろう。



すでに遊ぶ気など失せてしまったマリーは、来た道をとぼとぼと帰っていった。


その姿を、森の木々たちは優しく見送っていた…